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サブカル雑食手帳

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2009年03月24日

創刊号だけで消えた「ドラキュラ」

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吸血鬼といえば一般には不死の存在というイメージが持たれているようだが、吸血鬼の代表格の名前を誌名に戴きながらも恐ろしく短命(出たのは創刊号のみ)だったのが1973年秋に新樹書房から出た「ドラキュラ」(唐十郎責任編集)という雑誌である。この創刊号は特集が「血をあびるダンディズム」となっており、唐十郎氏、若松孝ニ氏、足立正生氏といった面々がそれぞれ血にまつわる評論やエッセイを書いたりしているが、血に関係した言葉だけを集めてそれに解説を付した「血語小辞典」(桑原茂夫編)がどこかビアスの「悪魔の辞典」を連想させ、今読んでもこれが一番面白い。取り合えず、この中の項目から2、3拾ってみることにしよう。

「冷血」ー体温が外気温より低いこと。また情の冷ややかなること。用例としては冷血動物、冷血漢など。ただし、一見冷血漢とうつる者の体内には熱い血がたぎっていることが多い。<人を殺した人のまごころ>をうたったうたもある<夢野久作>。また世にハードボイルド小説と称される分野もあり、ダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラー、さらに大薮春彦らが熱血を秘めた冷血漢を生みだしている。一見して血の通った人間風、実は正真正銘の冷血動物というのも現実には多くいて、吸血鬼といえどもうっかりこの種の恐るべき人々には近づけない。血も涙もない奴というではないか。

「血相」ー顔つき、顔色のことをいうが、ふつうは「血相を変える」などと使う。血をみる時には血相を変えるのがあたりまえで、それ程血相を変えない男を見たら相当場数を踏んでいるとおもっていい。あるいはコワイ冷血漢であるかだ。吸血鬼は血を吸う前に血相を変える。クリストファー・リー扮するドラキュラの場合はご存知のように眼が血走ってゆくのがよくわかる。似たことばに「血色」があるが、こちらはもっぱら温和な方に使われる。顔の色つやをあらわし、血をみることと全く関係ない。

「貧血」ー血液、とくに赤血球が減少すること。顔面蒼白、心悸亢進、めまいなどを伴う。吸血鬼に血を吸われれば当然この状態に陥り、自らも血を求めざるをえなくなる。もっとも、吸われる前にすでにしてこの状態に陥りそのままブッ倒れてしまう者も多い。貧血を起こし易いのを貧血症といい、貧血症患者はこのところとみに増えているようである。吸血鬼はあお白き貧血症患者をば相手にはしない。貧血の対語として「充血」がある。こちらは文字どおり血の充ちるのを意味するが、局部的に充血すれば勃起現象をひき起こすことからみても、どうも貧血症はいただけない感じである。

 さて「血語小辞典」はこれくらいにしておいて、次に面白いのは、「もしあなたがドラキュラなら第一番目に誰の血を吸いますか?」という「ドラキュラアンケート」である。こうした荒唐無稽な質問に、白石かずこ(詩人)、大久保清(犯罪者)、大西赤人(作家)、加藤郁呼(詩人)、佐伯俊男(画家)、鈴木志郎康(詩人)、鈴木清順(映画監督)、塚本邦雄(歌人)、堤玲子(作家)、中井英夫(作家)、真崎・守(劇画家)、松山俊太郎(インド哲学研究者)、矢川澄子(ドイツ文学者)、吉行淳之介(作家)といった人達が大真面目に答えているところがこれまたいかにも時代を感じさせるが、まあ創刊号だけで消えてしまったところを見るとあまり売れなかったのかも知れない。      


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posted by 下等遊民 at 07:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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