人々ー戦後サブカルチャー偉人伝」(河出文庫)の中から、偉
大なる三人のハプナーに登場してもらったが、この中で爆発男
(岡本太郎氏)と全裸男(ダダカン氏こと糸井貫ニ氏)の二人
を結ぶキーワードはダダイズムである。周知のように、ダダと
いうのは、第一次大戦中に世界中を席巻したハチャメチャな芸
術運動(そもそもこの「ダダ」という言葉からして全く意味不
明)で、とにかく今までの既成概念を片っ端からぶっ壊そうと
いうのがその基本的スタンス。ダダの発展形態がシュールレア
リズムであるが、かつて爆発男=岡本太郎氏がシュールレアリ
ストを自認し、この運動に加わっていたことはあまりにも有名
な話である。また全裸男=糸井貫ニ氏に至っては既にダダカン
という通称にダダイズムの強い影響を見ることが出来よう。
ところで、今、ダダ、ダダと書いているうちに、ふと70年
代後半に、やさぐれシンガー山川ユキが歌って大ヒット(?)
した「新宿ダダ」という素晴らしい名曲があったことを思い出
した。歌詞はよく覚えていないが、♪ダダッ!! ダダッ!! ダダ!
ダダ! ダダァ! という意味不明ながら衝撃的な出だしのフレー
ズだけは今でも鮮明に記憶に残っている。日本の魔都新宿と20
世紀初頭のヨーロッパで台頭したダダイズムとを重ねることで
「新宿ダダ」というタイトルになったのであろうか。ともあれ、
この曲を今、改めてじっくり聴いてみたいものである。
なお、ダダイズムとその拠点キャバレー・ヴォルテールにつ
いては、筒井康隆著「乱調文学大辞典」(講談社)の中の「レー
ニン」のところでも次のような形で引き合いに出されている。
まあこれを読んだだけでもダダイズム台頭期の頃のキャバレー・
ヴォルテールの喧噪と熱気(ちょっと新宿ロフトプラスワンを
思わせる)は充分伝わってこようというものである。(以下、
筒井康隆著「乱調文学大辞典」より引用)
「彼(レーニン)はチューリッヒのシュピーゲル街六番地に
住んでいた。そのちょうど向い側の一番地にはキャバレー・ヴォ
ルテールがあって、ここはダダイズムの根拠地、毎夜のように
ツァラ、アルプ、カンディンスキー、ヴェデキント、ドビュッ
シー、アポリネール、モジリアニ、ブルトン、スーポー、ピカ
ソ、アラゴン、ピカビア、エリュアール、ベレ、ヤンコーといっ
た気ちがい連中が集り、騒いだり殴り合いを演じたりしていた。
そんなにうるさくて、よくまあ革命論や唯物論が書けたもので
ある。」
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