
市の図書館で「カストリ新聞・昭和二十年代の世相と社会」(大空社)と題された大型本を借りた。終戦後の一時期、巷に氾濫したカストリ雑誌に関してはこれまで何冊かの研究書が出ているが、カストリ雑誌と同時期にカストリ新聞なるものが相次いで創刊されていたことは現在あまり知られていないのではなかろうか。
この本は敗戦後刊行された厖大なカストリ新聞の中から、当時の世相や風俗を照らし出していると思われるものを厳選し、紙面をそのまま収録したものである。巻頭にはこの本の監修を担当した新聞資料ライブラリー代表・羽島知之氏による「カストリ新聞の流行」と題する一文が載っているが、そこで羽島氏はカストリ新聞の魅力を次のように書いている。
「内容はエロ・グロをねらった興味本位の読みものがほとんどだが、どの紙面にもある種のエネルギーが漲っている。『真相ばくろ』『世相百態、猟奇、探訪、実話の楽しい新聞』『事実の奥の奥、嬉しく、悲しく、愉しい』『裏から覗く伝聞、真相の真相』『愛慾・怪奇・実話』『一流記者の実話探訪紙』『一度読み出したら手放せない、若い人にも老人にも親しまれる日本唯一の絶対的大衆娯楽版』『コント新聞はあなたの夢、わたしの笑、二人の心の底の桃源郷』『実話でびっくり、講談でしっぽり』『社会の照魔鏡』『総ての真相を知らせる新聞』など、題名脇などに短い編集方針を明記しているのがおもしろい。」(P2)
「紙面の大見出しに登場するカストリ新聞独特の新聞用語には、強姦、屍姦、輪姦、情交、桃色、愛撫、恥辱、淫獣、淫魔、淫奔、色魔、色慾、慾情、邪恋、快楽、不倫、嫉妬、猟奇、変態、愛慾、処女、転落、純潔、貞操、不貞、真っ裸、全裸殺人、乳房、陰毛、ズロース、売春、パンパン、毒婦、愚連隊、人妻狩、男娼などがあり、いずれも扇情的なことばで、読者を引きつけているのが特徴である。」(P3)
因にこの本に収録されているカストリ新聞の紙名は「実話新聞」「探偵新聞」「大阪読物新聞」「New東京パック」「旬刊 猟奇新聞」「実話読物新聞」「実話タイムス」「旬刊新聞創世記」「夜の新聞」「旬刊新聞 青春街」「旬刊大阪」「旬刊 ハイライト」「ガイド」「世相新聞」「浮世新聞」「トピックジャーナル」「大衆読物新聞」「りべらるタイムス」「肉体芸術」「週刊珍聞」「新聞 大都会」「りべらる新聞」「真相新聞」「愛の世界」「花形新聞」「優性新聞」「週刊浅草街」「東京実話新聞」「実話クラブ」「ホーム・ニュース」「スリル」「特ダネ新聞」「新(ニュー)実話新聞」「東京読物新聞」「探偵実話読物」「旬刊探訪」「講談と実話新聞」「話題」「旬報」「コント新聞」「実話特急」「実話旬報」「風俗新聞」「実話新報」「オール花形ロマンス新聞」「週刊読物」「真相読物」「特シウ読物新聞」「夫婦生活新聞」「千一夜安全地帯」「東京ガイド」「性科学界機関誌」「新太陽」など。



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「カストリ新聞」というのは初めて見ました。カストリとくれば「雑誌」だと思っていましたので・・・
これを見て思ったのですが、スポーツ新聞の「エロ系」の紙面の原点がここのあるのではないでしょうか。
>いや〜図書館という所は素敵な本が置いてあるもんですね〜
そう言えば、7月27日の拙エントリーで取り上げた「でぶ大全」(作品社)という本も市の図書館で借りたものでしたが、私が住んでる市の図書館にはこのテの珍書、奇書の類いがわりと豊富に置いてあるのでありがたいです。
>「カストリ新聞」というのは初めて見ました。
カストリ雑誌は今でも現物が数多く残っているのに対し、カストリ新聞の方はもはや現紙が皆無に等しいようです。ただこの本に収録されているカストリ新聞はどれも印刷が最悪で、大見出し以外は記事本文が大変に読みづらく、大型本とはいえ定価が10000円もするのでこれはもう図書館で借りるしかないような本といえるでしょうな。
>スポーツ新聞の「エロ系」の紙面の原点
夕刊紙「日刊ゲンダイ」なども最初の政局記事を除けば、ほとんどカストリ新聞のまんまって感じですよね。
俺のブログも参考にしてくださいね。
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今後ともよろしくお願いいたします。