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サブカル雑食手帳

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2008年11月27日

赤い顔がのぞいた

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 先日、物置き小屋を物色していると、天野哲夫監修「続・禁じられた性-異常愛・100人の証言」(潮出版社)と題する新書が出て来た。私はかねてから「家畜人ヤプー」の作者・沼正三の代理人で実践派のマゾヒストでもある天野哲夫氏の大ファン(?)であるため、これまでも氏が書いたものには極力目を通すようにしてきたのだが、この証言集も「日本的『性』の焙り絵」と題された氏の解説文に惹かれて出版された(1975年6月刊)直後に購入したという記憶があった。「近親相姦」のみを主題にした正編「禁じられた性-近親相姦・100人の証言」(高橋睦郎監修 )に対し、続編としてのこの本は、同性愛、サディズム、マゾヒズム、獣姦等を中心とする、「異常愛」の日本的風土における種々相に光を当てたものであるが、実際、ここに集められた多種多様な事例のどれ一つを読んでも、人間的『性』の複雑怪奇さを垣間見る思いがするのである。インターネットもAVもSMクラブもまだ存在しなかった時代、性のアウトサイダーたちはいかにして自らの妄想世界を生きていたのか、以下は第一章「戦争・犠牲・異邦人」に収められた「赤い顔がのぞいた」と題する当時29歳の主婦の証言である。

「『おーい、お福』 
 男生徒が一団となって廊下の窓べりから下に向かって呼びかけています。教室にいた四、五人の女生徒は顔を見合わせて、おかしさと恐怖とが入り混じったような気持ちにさせられます。 
 お福と呼ばれたのは、三十四、五歳の中年男で、その頃、私たちの中学校に足繁くやって来ては、ブラブラしていました。プールのそばでボンヤリしていたり、野外ステージの上で日なたぼっこをするのです。 
 別に危害を加えないので、学校でも咎めなかったのでしょう。お福は毎日やってきました。それも、いつも赤い顔をしているのです。お酒を飲んでいる様子でもないのに、ああいう体質だったんでしょうか。 
 お福はいつ見ても嬉しそうにニタニタと笑っていました。精神薄弱かというとそうでもなく、 
 男生徒が、
 『おい、お福、歌えよ』
 と言うと、『フニクリ、フニクラ』などをたいへん巧みに歌うのです。これが普通の人だったら、素直にうまいと言いたいのですが、お福だと逆に奇妙な感じがします。
 いつしか女生徒の間では、お福が女便所を覗いているという噂が持ち上がりました。ありそうなこととは思ったものの、私はそれほど気にならなかったのです。しかし、そんな私が目撃者になるなんて・・・・・。 
 午後の授業が始まるギリギリになって、私は便所に駆け込んだのです。そして、扉をノックするが早いかノブを引いていました。
『キャッ』
 私は叫び声をあげてのけぞりました。そこには、あのお福がうずくまっていたのです。私の顔を見ると、お福はいつものようにはニタニタと笑っていませんでした。むしろ真剣な顔つきで私を睨みつけ、飛びかかってこようとしたのです。
 私は一目散で逃げました。いたずらされるどころか、殺されるような気がしたからです。 
 でも、教室に逃げ帰ってから、私は平静を取り戻しました。そして親しい友達に今見てきたことを告げたのです。皆、気味悪がっていました。
 きっと、お福はいつもああして、隣りの密室での行為を覗いたり、聞き耳を立てていたのでしょう。私に見つかった時は、鍵をかけ忘れたのかもしれません。 
 お福は、私が卒業する頃には姿を消していました。今にして思うのですが、お福はいったいどうして食べていたのでしょう。子供を持つ身になってからは、ああいう男だけにはしたくないと思うようになりました。」

 なお拙ブログの過去エントリーで天野哲夫氏に言及したものは以下の通り。

「家畜人ヤプー」をめぐる思い出あれこれ
 http://yakenn2002.seesaa.net/article/6100436.html  

 伝説(?)のマニア誌「裏窓」 
 http://yakenn2002.seesaa.net/article/58358338.html

 天野哲夫氏のフェティシズム論
  http://yakenn2002.seesaa.net/article/104826083.html


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posted by 下等遊民 at 21:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 この手の本が名の知れた出版社から発刊されるようになったのは、いつ頃からなんでしょうかね〜。ワタシの場合は文庫本でこの種の本が多数出版された時代に何冊か読んだ覚えがあります。(出来るだけアブノーマル系だけ読みましたが)
それにしても、この体験談の「お福」と同じような人物がワタシの小学校時代にも居たように思います。(そんな時代だったんでしょうか)
Posted by wakuwaku1776 at 2008年11月28日 19:27
 >wakuwaku1776様

 >この手の本が名の知れた出版社から発刊されるようになったのは、いつ頃からなんでしょうかね〜。

 この本の版元である潮出版社は元々宗教団体S(サドにあらず)学会系の出版社ですが、70年代にはなぜか沼正三の「ある夢想家の手帖」6巻本(現在は幻の稀覯本)などアブノーマル系の本から平岡正明や竹中労など政治的にラジカルな本まで宗教色の全くない本も数多く出していたようです。「100人の証言」という企画はこの当時月刊誌「潮」でも盛んにやられていたという記憶があります。

 >それにしても、この体験談の「お福」と同じような人物がワタシの小学校時代にも居たように思います。(そんな時代だったんでしょうか)

 私の場合も「お福」のエピソードにはなぜか強烈な既視感を感じましたね。今と違って学校自体の警戒心が非常に希薄だった時代、全国には無数の「お福」がいて、学校という場を無上のパラダイスとしていたんでしょうな。
Posted by 下等遊民 at 2008年11月28日 22:39
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