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サブカル雑食手帳

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2009年01月25日

バイブと張形

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「張形(はりがた)とは人体の性器を擬したもののこと。現代の性具としてはディルド(ー)(Dildo)またはコケシと呼ばれ、勃起した陰茎と同じか少し大きめの大きさの形をしたいわゆる大人のおもちゃである。電動モータを内蔵し振動するものを『バイブレーター』(略して『バイブ』)、または『電動こけし』と呼ぶ。」(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」より)

 「婦人公論1/15号別冊・快楽白書(けらくはくしょ)2009」(中央公論新社)掲載の記事「アダルトショップは官能の玉手箱」は女性ライター(奥田さゆり)によるアダルトショップ探訪記として出色である。

 「30〜40歳代の女友だちとオナニーについておしゃべりすることもある、と言うと、たいていの人はびっくりする。女性だってときにはエロトークをするものだけど、ことオナニーに関しては、タブーの領域なのだろう。ましてバイブの品評もするなんて、やっぱり過激かしらん。 
 ーなどと編集部で話していたら、『それならアダルトショップをルポせよ』、との指令が飛んだ。同行者はアダルトグッズなんて見たことも触れたこともないという編集部KさんとイラストレーターTさん。なんてピュアな二人・・・・・。私は『案内人』の役目をおおせつかり、都内のアダルトショップを訪ねることに。」(本文より)

 こんな書き出しで始まるこのルポルタージュのターゲットは女性専門アダルトショップの「キュリウス」と「ラブリーポップ」。女性専門店の老舗(創業15年)「キュリウス」は男性の店長が、創業10年の「ラブリーポップ」は女性スタッフが、バイブの素晴らしさについての懇切丁寧なレクチャーをしてくれるとのことである。さて、私が昔、アダルトショップの店番を体験したことについては前回のエントリーで書いた通りであるが、それはまだ女性専門店など存在せず、中には店の入り口にわざわざ「男性専科」などと表示することで、端から女性客をシャットアウトしているような店も少なくなかった時代でのこと。なので正直なところ、このルポを読んだ時には隔世の感に近いものがあったほどなのである。実際、当時はバイブを買いにくる客のほとんどが男性客か、もしくは男女のカップルであり、たまに女性客が一人で買いにくることがあっても、その場合はたいてい、「知り合いの女性に頼まれてしかたなく」といった風に大義名分(?)付きだったりしたのである。しかし考えてみれば、これは明らかに不自然な話ではなかろうか。なんとなれば、アダルトショップの主力商品でもあるバイブは、そもそも女性ユーザーを対象として作られたものなのだから・・・・・。 
 法政大学社会学部教授で江戸文化に詳しい田中優子女史はその著書「張形・江戸をんなの性」(河出書房新社)の中で江戸時代の浮世絵春画の世界では女性が自ら積極的に「張形」を使っているが、やがて、女性には欲望はなく受身で、自慰もしないという「西欧近代的な性神話」が輸入されることによって、「張形」はもっぱら男性が女性に対して使うだけのものに変容させられてしまったことを強調している。だとすれば、こうした女性専用アダルトショップのルポルタージュは、ある意味で日本にやっと江戸時代ゆかりの張形文化が甦りつつあることを告げているのかも知れない。
 ということで、最後に田辺貞之助著「風流粋故伝」(新門出版社)の中から江戸張形川柳のいくつかを紹介しておくことにしよう。

  「張形は孫の手でかく心もち」

 「弓削形はきらしましたと小間物屋」

 「いぼつきはきらしましたと小間物屋」

 「上反りははやりませぬと小間物屋」

 「生き物のように動かす小間物屋」

 「小間物屋すぽすぽさせて一本売り」

 「尤もなこと張形へ燗酒入れ」
 
 「あつかんで楽しんでいる長局」    



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posted by 下等遊民 at 12:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>しかし考えてみれば、これは明らかに不自然な話ではなかろうか。なんとなれば、アダルトショップの主力商品でもあるバイブは、そもそも女性ユーザーを対象として作られたものなのだから・・・・・

す、するどい!!
最近はエロDVD屋でもこの手の「大人のおもちゃ」を販売しているので、ワタシもこの手の店で女性客と鉢合わせした事があります。
男性が補助的に使うというスタイルから女性が進んで(?)使うという形が増えてきてるんでしょうか。(ま〜女性の方が性に対して貪欲なのは確かな気はするんですが・・・)
Posted by wakuwaku1776 at 2009年01月25日 22:18
 >wakuwaku1776様

 >男性が補助的に使うというスタイルから女性が進んで(?)使うという形が増えてきてるんでしょうか。

 このルポによると、創業15年の「キュリウス」が、女性向けを謳っている店鋪の先駆けということなので、この店がオープンした15年前を一つのターニングポイントと見ることもできそうですよね。それ以前はバイブというのは、例えばスポーツの苦手な男性が強いスポーツ選手の活躍ぶりを見て代理満足を得る場合のスポーツ選手のような役割を担わされていたのではないでしょうか。にっかつロマンポルノ「OL縄奴隷」でも最後に主人公の男がリモコン付きバイブで女性を遠隔支配(?)するようになるわけですが、そこまで極端ではないにしろ、これに近いバイブ観(?)は多くのポルノ映画やAVなどにも見受けられるようです。私が店番をやっていた時には、「彼女にバイブを使おうとしたらひっぱたかれてしまった。まだ未使用なので安くていいから下取りしてほしい」と言って、前日買っていったバイブを持ってくるという哀れな御仁もいましたが、もちろん下取りはしませんでした。

 
Posted by 下等遊民 at 2009年01月26日 02:07
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