(下川耿史/著 ちくま文庫)という本の帯に書かれている、
「旦那、いい写真があるよ」というキャッチコピーに目が留まっ
た。この本は6年ほど前に地元の新刊書店で購入したものなの
であるが、その際、私が本を買う気になったのがこの秀逸なキャッ
チコピーのせいであったことをふと思い出したからである。
本の内容はタイトルが示す通り、かつて繁華街や温泉地の路地
裏などで密売されていたエロ写真の歴史を丹念にトレースした
ものであるが、それにしてもこの本のキャッチコピーに、「旦
那、いい写真があるよ」とは!これほど見事にあのエロ写真特
有の「いかがわしさ」を表した言葉はあり得ないのではないか。
つまり私はこれを思いついた筑摩書房さんの文学的センスに、
「惚れ込んで(ちょっと大袈裟か)」しまったわけである。
まあ考えてみれば、本を購入するに当って、帯のキャッチコピー
が果す役割というのは意外と大きいのかも知れない。もちろん
明らかにつまらんキャッチコピーというのもあるのであって、
それは例えば、「近日映画化決定」とか「メディアで話題騒然」
とかいう類いのものである。こういうのは芸がない上に押し付
けがましい感じがしてしまうからだ。そこで今回は、現在手許
にある本の中から、ちょっと面白いと思われるキャッチコピー
をセレクトしてみることにした。(但し、予めお断りしておくが、
キャッチコピーが面白いことは必ずしも本の内容までも面白い
ことを意味しない。だって「羊頭狗肉」なんてどこの世界にも
付き物じゃないですか。)
「女も男も濡れ勃ち、笑う 豊富な図版で深く読み解く」
−田中優子/著「春画のからくり」(ちくま文庫)
「反骨? いや天の邪鬼なだけさ。戦後の政治を冷徹に見
つめ、性遍歴を赤裸々に語る。」ー金子光晴/著「反骨」
(ちくま文庫)
「えっ!? あの二人が? こんな体位で!? 『噂の真相』
の巻頭を飾り続けたあのスキャンダラスなイラスト220点を
一挙大公開!!」ーイラストレーション/足立三愛「『噂の真
相』とびら絵傑作選・このイラストは実在の人物とは関係あり
ません。」(ビレッジセンター刊)
「こんな時代がありまして、うなる警棒、飛び交うガス弾、突っ
込むゲバ棒。」ー中野正夫/著「ゲバルト時代・Since
1967〜1973・あるヘタレ過激派活動家の青春」(バジ
リコ刊)
「こんなことしてて、おてんと様に申し訳ない」ー永江朗/著
「アダルト系」(ちくま文庫)
「面白くて、哀しい 昭和のスケベ人生」ー下川耿史/著「変
態さん!」(ちくま文庫)
「すべての大作家は、いずれかの面で、ろくでなしであった」
ー福田和也/著「ろくでなしの歌」(メディアファクトリー刊)
「沖縄、ニッポンではないー汝、花を武器とせよ! 『本土復
帰』を考える原点」ー竹中労/著「琉球共和国」(ちくま文庫)
「なぜ日本は『縄』で、ヨーロッパは『鞭』なのか? 人間の
果てなき欲望から世界がわかる画期的な比較文明論。」ー鹿島
茂/著「SとM」(幻冬舎新書)
「フロイトはマルクスよりも多大な損害を人類に与えた」ーロ
ルフ・デーゲン 赤根洋子/訳「フロイト先生のウソ」(文春
文庫)
「あなたは、ウレシイか?」ー井上章一/著「パンツが見える。」
(朝日新聞社刊)
「辛く哀しい愛 いま甦る1970年代のラブストーリー」
ー林静一/著「赤色エレジー」(小学館文庫)
「赤線廃止50周年記念」ー伊藤裕作/著「娼婦学ノート」
(データハウス刊)
「このヒコクミンめが・・・・・・」ー島田雅彦/著「ヒコク
ミン入門」(集英社文庫)
「もっともてなくなって再登場! 30代半ばでなお男の高望
みをやめない『負け犬』たち。だが、どんなにひどい目に遭っ
ても、俺は女が好きだ!」ー小谷野敦/著「帰ってきたもてな
い男」(ちくま新書)
「ヴェトナム戦争の悪夢か、人間の根源にひそむ残虐性か?な
ぜ、80年代にホラー映画はかくも見事に花ひらいたのか」
ー友成純一/著「内臓幻想」(ペヨトル工房刊)
「<エロス=生>と<タナトス=死>の闘争はいかにして乗り
超えられるか? はるかなる肉体の復権を熾烈に希求する!!」
ーN・O・ブラウン 秋山さと子/訳「エロスとタナトス」(竹
内書店刊)




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勝手にコピーを作っちゃうというのもあるかな。
マイナーこそ偉大である。
サブカル雑食手帳
とか。
実は「日本エロ写真史」のキャッチコピー「旦那、いい写真があるよ」に触発されて、他にも何か面白そうなキャッチコピーはないものかと急に思い立ち、本棚引っかきまわして探してみたんですが、今のところこれがピカ一のような気がします。文庫本シリーズ全体のキャッチコピーでは、幻冬舎アウトロー文庫の「落伍者のための名作フェア」なんてのもなかなかいい線いってますよね。やはりキャッチコピーは長ったらしいものよりこれくらい短いものの方がいいと思う。残念なのはあっちこっち移動している過程で帯がちぎれたりしてなくなってしまった本があまりにも多いということですね。ちなみに本の紹介専門ブログでは、ユカリーヌさんの「月灯りの舞」http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/が取り上げた本すべてのキャッチコピーを紹介してくれているので、これだけでも結構楽しめると思います。
>ブログの売り文句傑作選
いや〜本のキャッチコピーよりこちらの方が遥かに傑作が多そうでんな。
>マイナーこそ偉大である。
まさに至言!
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/
せっかくなので、ホラー映画の傑作キャッチ・コピーを2,3書かせてもらいます。
「決して一人では見ないで下さい」(サスペリア)、「あなたは食うか?、食われるか?」(食人族)、「失禁者続出!絶叫噴出!、映画史上最高の興奮度、こんな映画見たことない」(死霊のはらわた)、「肉をくれ、もっと若い肉を!」(ゾンビ)。ま〜、B級ホラーはキャッチ・コピーで勝負ですね。
>ん〜昭和の香りがしますね〜。
通説ではエロ写真というのは昭和39年の東京オリンピックの頃までに姿を消したとされてるようなんですが、私が中学生の頃に近所の不良っぽい(この言葉も昭和っぽいですが)高校生から一枚だけですが、このテの写真を貰った記憶があり、また高校の時には遊びに行った同級生の部屋で、兄貴のコレクションだと言ってアルバムにびっしり貼られたやつを見せてもらった記憶もあるので、昭和40年代にも結構出廻っていたのではないかと推測されます。いずれにしろエロ写真が温泉地などの路上で売買されてた時代を知らないインターネット世代でも、ネオン街でピンサロの客引きなどに遭遇した経験さえあれば、このキャッチコピーのニュアンスだけは伝わるんじゃないですかね。
>ホラー映画の傑作キャッチ・コピー
いや〜ホラー映画やエロ映画のキャッチコピーというのはやはりこれくらいはったり性がないといけませんよね〜。私の場合、映画のキャッチコピーでは子供の頃に新聞の片隅で広告を見た大島渚監督の「悦楽」という映画のものが衝撃的でしたね。「人間を買おう 女を買おう! くみつくせ 生の悦楽!」ってやつ。