
前回のエントリーのコメント欄で、wakuwaku1776氏へのレスの中に、子供の頃に日本映画「悦楽」の新聞広告を見て、「人間を買おう 女を買おう! くみつくせ 生の悦楽!」というキャッチコピーに衝撃を受けたことを書いたが、もちろんこの頃は大島渚監督のことも、またこの映画が何を主題として作られたものなのかといったことも全く知らなかった。ただこのキャッチコピーだけが妙に鮮烈にいつまでも記憶の中に残り続けていたというわけだが、昨日、たまたま市の図書館の映画・演劇コーナーで、「大島渚1968」(青土社)という本を見つけ、パラパラと頁をめくっていると、突如あの時の新聞広告が目に飛び込んできたのである。こういう形態での映画の広告が新聞から姿を消してしまったのは一体いつ頃だったろうか(記憶を辿っていってもイマイチはっきりしない)。本の方は早速、借り出して、今、読み始めたところなのだが、ほとんどが大島渚監督の語りという形になっているせいか、かなり読みやすい。そして「悦楽」という映画について語っているところを読むと、このキャッチコピーがズバリこの映画の核心に触れたものであったことがわかるのである。(以下、本文より)
「主題のうえで中心に置いていたのは、『人間を売る』ということだったんだけど、これは観念的なテーマであって、そのことは人びとにアピールしなかった。人間が売り買いされているというテーマは、ぼくの映画に最初からあるテーマだけども、それをさらにセックスを媒介にしてはっきりと打ち出そうと。気分的にはそういうスキャンダラスな匂い。人間は高級なものじゃなくて、性関係を売り買いされるものなんだということをやろうとしたところは、ぼくの反逆的な気分という意味で、はっきり出たと思うんですね。そのころのぼく愛唱歌は『カスバの女』で、『あなたとわたしは買われた命』というやつですよ(笑)。」



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