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サブカル雑食手帳

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2006年03月10日

性倒錯の集大成「ソドムの百二十日」

 前回紹介した谷崎潤一郎「悪魔」のように、洟汁フェチが文
学作品に登場するケースは洋の東西を問わず極めて稀であるが、
あえてこれを外国文学の中に求めるとすれば、ここはやはりサ
ド侯爵に登場願うしかないだろう。例えば「ソドムの百二十日」
(左藤晴夫・訳 青土社)には次のようなくだりがある。

「その年を取った悪党は私が部屋に入るや否や扉を閉めて、私
を優しく抱き締めました。そして、『悪戯っ子、さあ、お前を
捕まえたぞ。もう逃げられないよ』と大声を上げ、有頂天にな
って喜びました。とても寒い日でしたから、子供によくあるよ
うに私は洟水(はなみず)を一杯垂らしていました。私が自分
で拭こうとすると、神父は『駄目、駄目。私がきれいにしてや
るよ』と言って、私を寝台に寝かせて私の横に坐り、私の頭を
膝の上に載せ、私の鼻から出てくる分泌液をまるで食い入るよ
うにして眺めていました。そして、ぼうっとした顔をして、
『可愛い、鼻垂れちゃん。さあ、私が舐めてあげるよ』と言っ
たかと思うと身体を曲げて私の顔に顔を近寄せ、私の鼻を口で
くわえて、そこいら中に溢れている洟水をすっかり舐めてしまっ
たばかりか、いかにもいやらしい遣り方で私の鼻の穴に舌を代
り番に差し入れたのです。そのやり方が実に巧みなので、私が
思わず何回もくしゃみをすると、その度に彼は大好きな洟水を
慌てて吸い込んでしまいました。しかし、ご主人様方に申し上
げますが、先刻のようにもっと詳しく話せとおっしゃられても
困ります。と申しますのはそれ以外に彼が何をしていたのか、
ズボンの中で何が起きていたのか全く見えなかったからです。
彼は何回となく私に接吻をし、顔中を舐め廻していましたが、
その間に激しく興奮したような気配はなかったので、気を遺っ
たはずはないと思います。それに、私のペチコートは捲り上げ
られてもいませんでしたし、彼の両手もそのままでしたから、
その年取った道楽者は、この世で最も清純で何も知らない女の
子に少しも猥褻さを感じさせずに、自分の幻想を満足させるこ
とができたということになるのかもしれません。」

 「悪魔」の主人公の洟汁フェチが「己は斯うやってだんだん
照子に踏み躙(にじ)られて行くのだ」といったマゾ的感覚に
基づいているのに対し、この神父のそれは明らかにサド的感覚
に基づいたもので、洟汁フェチといっても両者の間にかなりニ
ュアンスの違いがあるのも興味深い。
「ソドムの百二十日」(ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の変
態グロ映画「ソドムの市」はこの作品をナチズムの時代に置き
換えたもの)では考えつく限りのありとあらゆるものがフェチ
シズムの対象とされ、訳者の左藤晴夫氏のあとがきにもあるよ
うに「神、男女の臀部、肛門、ペニス、糞便、尿、おなら、唾
液、腋の下の匂いや口臭、身体の特殊な奇形、傷痕などがその
対象となっている。」
 そしてフェチシズムのほかにも多くの性倒錯現象が細かく分
類され、その数たるや全部で六百種類にも及んでいるのである。
フランス革命を目前にしたバスティーユ監獄の中で、まさに性
倒錯の百科全書ともいうべき大作をサドは眼病と闘いながら小
さな巻紙に密かに書き綴っていたらしい。サド自身が序文で言
っているように、ここに供された六百種類もの御馳走を全部平
らげるのはとても無理な話、ならば口に合わない料理に文句を
言わないで、口に合うものだけを賞味してみるのが饗応者への
礼儀というものであろう。






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posted by 下等遊民 at 02:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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