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サブカル雑食手帳

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2006年06月25日

金芝河「糞氏物語」にみる「恨」の情念

 政治的ラジカリズムと「恨」の情念と「エロ・グロ・ナンセンス」を見事に結合させたという意味で、韓国の詩人・金芝河氏の長篇譚詩「糞氏物語」は傑作中の傑作である。
 およそ九百行から成るこの長詩の内容については元京都大学教授・山田稔氏が名著「スカトロジア」(講談社文庫)の中で「糞氏の思想」として簡潔に要約(テクストは「不帰」所収の塚本薫訳)してくれているので、今回はそれを紹介しておきたい。

 「糞三寸待(ふんさんずんまつ)という三十歳の日本人がいる。身の丈一尺三寸五分(約40センチ)、太鼓腹、アヒルの足、がに股、猿のような面、チンポコはなく、ただ二つの真黒いキンタマがぶら下っているだけである。まるで怪獣である。
 高祖糞不可知寸待より父糞ニ寸待にいたるまで代々、朝鮮で『クソ』が原因で命を失った。糞氏の家訓は『朝鮮で雪辱する日までクソを我慢せよ』である。
 母親は三寸待に云う。

  よう聞くんや 三寸待!
  おまえの便所は こことちゃう あっち
  あの朝鮮半島や 三寸待! 半島へ行き 思いきり 雪
  辱する
  その日 来るまで
  こらえな あかん
  わかったか 肝に銘ずるんや 三寸待!

 三寸待はこらえにこらえた。そして三十になったある日、ついに民間訪韓団の一行にまぎれ込み、金浦空港すなわち糞氏の便所に到着する。しかし出迎えの男たちからセンセイ、センセイとちやほやされ、垂れるひまもなく料亭に連れ込まれ、盛大な歓待をうけるのである。

  オンナ とびかかり 三寸待の 着物をハラリ
  チョイナ アリラン
  こっちのオンナ ここなで アリラン あっちのオンナ 
  あこなで アラリョ
  女子大 妓生(キーセン) アリラン 妓生(キーセン) 
   女子大 チョイナ
  洗って オンナが みがいて オンナが
  ナデナデ オンナが モミモミ オンナが サスッテ妓 
  生(キーセン)
  モミモミ 妓生(キーセン) ナメナメ 妓生(キーセ 
  ン) スッテ スッテ 妓生(キーセン)
  チョイナ チョイナ アリラン ドッコイサ アラリョ 
  チョイナ
  

 だが三寸待は妓生観光どころではない。肛門がひく、ひくと動いて今にも垂れ流しそうなのだ。
 かろうじて隙をみつけて抜け出し、朝鮮民族の英雄とみなされているソウルの李瞬臣の銅像のてっぺんによじのぼり『ご先祖さまの雪辱果たし 雄志をふるう』のである。

  いざ行かん いざ いまぞ
  いで行かん 見よ!
  こらえに こらえたあのクソよ 
  嗚呼 クソ!
  そうだ!
  クソ!
  クソなるかな クソ またもクソ クソ クソ クソ!
  びちちっ!
  びちちちっ!
  ぶちちちちちちちちちちちっちっちっちっちちちちちっ

 ありとあらゆる形状のクソが『三島由紀夫のドタマのように、まあるい まあるい まんまるいクソ』や『あの三菱のマークのように三つ三すじに別れたクソ』、『火焔放射器に焼き殺された黒こげの肉塊が 日本人奴(イルボンノム) くたばれ! 叫声あげるクソ』などがどっと流れ出し、あたり一面クソの海と化し、人々はクソに呑まれて溺れ死ぬ。
 そこへ『学生 善女 善男、農夫、ニコヨンたち』が現われ、『清掃糞!』と叫びながら三寸待に石を投げつける。三寸待は石を避けようとして『ほやほや 新クソ』に足をすべらせ、折しも西の空に沈む夕日を背に、銅像の上からクソの海へ落ちていくのである。『天皇 ヘイカ 万歳』」

 以上が「スカトロジア」からの引用であるが、糞尿イメージと「恨」の情念がリンクした、なんともシュールで凄まじい作品世界ではないだろうか。今から30年以上も前に書かれた作品であるにもかかわらず、いささかも時代的制約を感じさせないのはさすがである。なおこの作品に登場する民間訪韓団の旗には「韓日親善 妓生飽食 処女試食 汚物排泌 鮮人凌蔑 公害輸出」などの言葉が謳ってあることを付け加えておきたい。
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posted by 下等遊民 at 14:36| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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