という特集に惹かれ「芸術新潮」1992年9月号を購入。
シャガール、クレー、キルヒナー、ノルデなどナチスから目の
敵にされた近代絵画の諸作品が紹介されていてナチズムを支え
たメンタリティの一端を垣間見る思いがした。ただ興味深いの
はなぜナチスは日本の軍部のように気に入らない作品を闇から
闇に葬らずに何度も「退廃芸術展」なるものまで開催してそれ
らの作品を公開する事にあれほどまで情熱を燃やしたのかとい
うところである。しかも晒しものにされた作品を九つのジャン
ルに色分けし、その一つ一つにどこがいけないのかコメントま
で付すという念の入れかたなのだ。ここまでくるともう一種の
マニアと言うしかないような気がする。
ナチスは一方で病的でない健全な芸術作品ばかりを集めたと
自ら豪語する「大ドイツ芸術展」なるものも同時に開催するの
であるが「退廃芸術展」は「大ドイツ芸術展」の3倍の客が押
し掛けるという大盛況ぶりだったとか。こうしたナチスの近代
美術へのある種のこだわりには恐らく画家になり損ねたヒトラ
ーの近代美術へのアンビバレントな思いも関与しているのであ
ろうが、いずれにしろ「健全」よりも「退廃」をこよなく愛す
る私としてはこういう時代が再び到来しない事を祈るのみであ
る。
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Save the earth
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ご指摘、まったく同感です。「退廃芸術展」は私も見たかったものです。ナチスのこの時代、どうしてここまで狂ってしまったのか、人間の本性に潜む恐ろしさを改めて感じます。
「退廃芸術展」を開いたヒトラーには確かに病的なマニア臭がしますね。「退廃芸術展」で作品を狂気の産物と断罪したヒトラーこそが、一番の狂気の産物だったのに、誰もがそのことに薄々気づいていたはずなのに、自らを狂っていると露とも思っていない哀れな男の愚行を止めれなかったことは、あまりにも恐ろしいことです…。
TBありがとうございます。
退廃芸術展に押し寄せた観衆は惜しむように作品を鑑賞していたとどこかで読んだ記憶がありますが、それがドイツ芸術の「今」だったからだと思いました。そういった民衆がナチに侵されていった事実を考えるといかに政治が恐ろしいものか知らされる思いです。