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サブカル雑食手帳

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2015年09月08日

家畜人ヤプーの館

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 「『家畜人ヤプー』は、埴谷雄高の『死霊』とならぶ、戦後文学最大級の観念小説である。『死霊』が形而上的話題に終始するのに対して、『ヤプー』は形而下的細部のみに充ちているというコントラストが面白い。」とは、「週刊文春」9月10日号の「文春図書館」というコーナーで、歌人の穂村弘氏が、古書店で購入した「マゾヒストМの遺言」(沼正三 筑摩書房)という本の中に入っていた古い新聞(朝日新聞・平成15年9月21日)の切り抜きの文章(筆者は中条省平氏)を紹介したものであるが、この「戦後文学最大級の観念小説」のタイトルをそのまま店名に用いた「家畜人ヤプーの館」というSМクラブを1970年から3年間、経営していた登口安吾氏が今年の3月に、「家畜人ヤプーの館」(文芸社)と題する記録小説を発表していたことを最近知って、慌てて購入。この小説、SМ業界(?)内部のエピソードに留まらず、70年代前半に隆盛を極めたアングラ文化全般を俯瞰できるような内容になっている点は一読の価値あり。以下はこの作品の中で描かれた「家畜人ヤプーの館」開館披露パーティの模様である。

 「一九七〇年九月一日午後八時、マスコミ関係者百名近くを招いての『家畜人ヤプーの館』開館披露パーティはカウンターの上に設置された生ビールの樽の栓に、南極1号のダッチワイフがまたがるように鎮座し、股ぐらから女性用の尿瓶に注がれたビールの乾杯の合図で、その乱痴気騒ぎの幕は切って降ろされた。手分けしてあちこちの薬局を駆け回ってなんとか五十個くらいを確保した尿瓶の中のビールは、色といい泡立ち具合いが全く本物のオシッコそのものだ。」

 うーむ、せっかくあちこちの薬局を駆け回って五十個も尿瓶を確保したんだったら、ダッチワイフの偽オシッコでなく、本物の女王様が放出した本物のオシッコで乾杯した方がはるかに「家畜人ヤプーの館」という店名にふさわしかったのではないかとも思うのだが、哀しいかな、これもまた時代的制約というやつだったのだろうか。

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posted by 下等遊民 at 18:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Tバックが上手くいかないようなので、コメントに。
http://sealofcain.blog101.fc2.com/blog-entry-464.html
「小川徹『失われた〈愛のコリーダ〉その再現とポルノ映画論』その2」

まさにモノホンを飲んだ沼正三と、この後ヤプーバーティーが行われた事などの言及があります(=^^=)
Posted by 吉乃黄櫻 at 2015年09月13日 12:56
 >吉乃黄櫻様

 >小川徹『失われた〈愛のコリーダ〉その再現とポルノ映画論』

 ご紹介ありがとうございます。この本、実は未読なんですが、「ヤプー」出版記念パーティ(このパーティには演劇実験室・天井桟敷の女優さんたちが多数参加していたらしいのですが)のことまで出てくるとは、さすが「映画芸術」誌の編集長をやっていた人だけのことはありますね〜。この「ヤプー」出版記念パーティの過激さを思うと、「家畜人ヤプーの館」開館記念パーティの方はどこか腰が引けてる感じが否めませんな。ところで、「映画芸術」誌と言えば、編集長の小川徹氏が凄絶なるゴミ屋敷で孤独死した後、常連執筆者だった吉本隆明氏が、ゴミ屋敷の片づけを手伝った時のことをどこかの雑誌に書いていたことがあったのですが、それによると屋敷の中は、マスクと手袋着用でなければ入れないほど埃まみれで、さらに万年床の布団を上げると、そこにはなんと大量の泥が堆積していたんだとか。まあこういう人が編集長をやっていたんだから、「映画芸術」誌が面白くないわけがないなと妙なところで納得させられた次第であります。





Posted by 下等遊民 at 2015年09月13日 18:40
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