九段の母(作詩:石松秋二 作曲:能代八郎 )
1 上野駅から 九段まで
かってしらない じれったさ
杖をたよりに 一日がかり
せがれきたぞや 会いにきた
2 空をつくよな 大鳥居
こんな立派な お社に
神とまつられ もったいなさよ
母は泣けます うれしさに
3 両手あわせて ひざまづき
おがむはずみの お念仏
はっと気づいて うろたえました
せがれゆるせよ 田舎もの
4 鳶が鷹の子 うんだよで
いまじゃ果報が 身にあまる
金鵄勲章が みせたいばかり
逢いに来たぞや 九段坂
(註)特に2番の歌詞に注目されたい。ここには靖国神社が母親にとって本来この上なく悲しい出来事であるはずの息子の戦死という事態を光栄なこと、喜ばしいこととして受け入れさせてしまう装置としていかに大きな役割を果していたかが如実に示されている。まさしく高橋哲哉氏が言うところの「感情の錬金術」だ。
そうだその意気(作詩:西條八十 作曲:古賀政男)
1 なんにも言えず 靖国の
宮のきざはし ひれ伏せば
熱い涙が こみあげる
そうだ感謝の その気持
揃う 揃う気持が國護る
2 雁鳴きわたる 月の空
今夜いまごろ 戦地では
弾丸(たま)を浴びてる 朋友(とも)がある
そうだ済まない その気持
揃う 揃う気持が國護る
3 戦に勝つにゃ お互が
持場職場に 命がけ
こんな苦労じゃ まだ足りぬ
そうだその意気 その気持
揃う 揃う気持が國護る
4 かがやく勲 皇軍に
まけず遅れず がっちりと
共に戦う 銃後軍
そうだ進めば 盛りあがる
凱歌 凱歌あかるい大亜細亜
(註)「海の進軍」のB面にカップリングされた歌だが、出来あがった歌を聞いたとき海軍の連中は「何だこんな女々しいメロディをつけて」とかんかんだったが、古賀は「私はこれ以上は作れません」とつっぱねた。だが、この歌は当時の人々の心をとらえ、一番よく歌われた。
皇国の母(作詩:深草三郎 作曲:明本京静)
1 歓呼の声や 旗の波
「あとは頼む」の あの声よ
これが最後の 戦地の便り
今日も遠くで ラッパの音(ね)
2 思えばあの日は 雨だった
坊やは背(せな)で スヤスヤと
肩を枕に 眠っていたが
頬に涙が 光ってた
3 ご無事のおかえり 待ちますと
言えばあなたは 雄々しくも
こんど逢う日は 来年四月
靖国神社の 花の下
4 東洋平和の ためならば
なんで泣きましょう 国の為
散ったあなたの かたみの坊や
きっと立派に 育てます
(註)始め「だって ひどいわ あんまりよ」という流行歌だったが、検閲で国策にそわないと油をしぼられ、メロディはそのままに歌詞だけを軍国調にかえて発売したところ、大ヒットしたという。
同期の桜(作詞:西條八十 作曲:大村能章)
1 貴様と俺とは同期の桜
同じ兵学校の庭に咲く
咲いた花なら散るのは覚悟
見事散りましょ国のため
2 貴様と俺とは同期の桜
同じ兵学校の庭に咲く
血肉分けたる仲ではないが
なぜか気が合うて別れられぬ
3 貴様と俺とは同期の桜
同じ航空隊の庭に咲く
仰いだ夕焼け南の空に
今だ還らぬ一番機
4 貴様と俺とは同期の桜
同じ航空隊の庭に咲く
あれほど誓ったその日も待たず
なぜに散ったか死んだのか
5 貴様と俺とは同期の桜
離れ離れに散ろうとも
花の都の靖国神社
春の梢(こずえ)に咲いて会おう
(註)これは西條八十が女学生雑誌に書いた「二輪の花」という友情の詩を当時、この部隊にあった帖佐裕が男性の唄に書き替えたもの。作曲はしばらくの間不明であったが、西條八十詩「二輪の花」作曲大村能章という当時のレコードが発見されたことで大村能章であることが判明した。
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