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サブカル雑食手帳

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2008年04月10日

戦時歌謡と翼賛マスメディア

 「軍歌、軍国歌謡、兵隊俗謡について検討するとき、為政者がどれほど国民にうたわせようとしても、うたわせられる側は自分の好みに合わなければ、うたわないということがよくわかる。それは、レコード流行歌を低俗だとして昭和11年にNHKが国民歌謡という名目で、いわゆる健全な歌の普及をはかったが、健全すなわち軍国主義につながると解した若者の多くは、すてばちなヤクザ小唄の『妻恋道中』や『流転』あるいは暗い『裏町人生』はうたっても、国民歌謡はほとんどうたわなかったことでもわかる。」ー加太こうじ・佃実夫編「流行歌の秘密」(大和書房)より


 前回のエントリーでは、戦時歌謡の中から「靖国」がからむ曲だけを取り上げてみたが、その際、資料として用いた「新版日本流行歌史・中・1938〜1959」(社会思想社刊)という本によって、明らかに国民の戦意高揚のためにのみ作られたような歌が誕生するに際し、新聞社や放送局などいわゆるマスメディアが少なからぬ役割を果していたことをも知らされた。
そこで今回はそうした翼賛マスメディアのバックアップによって世に出ることとなった戦時歌謡をいくつか取り上げてみることで「マスメディアの戦争責任」を浮き彫りにしてみたい。


 (首都南京陥落時の朝日新聞社懸賞募集当選歌)
 皇軍大捷の歌(作詞:福田米三郎 作曲:堀内敬三) 

 1 国を発つ日の万歳に 
 しびれるほどの感激を
 こめてふったもこの腕ぞ
 今その腕に長城を
 こえてはためく日章旗

 2 焦りつく雲に弾丸(たま)の音 
 敵せん滅の野にむすぶ
 露営の夢は短か夜に 
 ああぬかるみの追撃の 
 汗を洗えと大黄河

 3 地平に空か内蒙の 
 砂塵に勝利の眼が痛む 
 思えば遠くに来たものぞ
 朔風すでに吹き巻いて 
 北支の山野敵もなし

 4 江南の空雲燃えて 
 陸戦隊の陣堅く 
 逆巻く浪に沿岸の 
 航路を断てば敵の船 
 港に島に影ひそむ

 5 八機二機五機墜ちてゆく
 敵へ情けの一旋回(ひとめぐ)り 
 機首をかえして更に衝く 
 鉄路トーチカ幾山河 
 手柄に残る弾の痕

 6 大上海に火は消えて 
 闇のクリーク星凍る 
 黒い太湖の北・南 
 見よ戦友の肩の霜 
 もろくも解けし敵の守備

 7 首都南京は遂に陥つ 
 焼けた砲銃の手をとめて 
 にっこり笑えば隊長も 
 莞爾と見やる城壁に 
 御陵威(みいつ)かがやく朝日影 
 皇軍大捷 万々歳


 (東京日日・大阪毎日新聞社懸賞募集当選歌 )
 日の丸行進曲(作詞:有本憲次 作曲:細川 武夫)

 1 母の背中にちさい手で
 振ったあの日の日の丸の
 遠いほのかな思い出が
 胸に燃え立つ愛国の
 血潮の中にまだ残る

 2 梅に桜にまた菊に
 いつも掲げた日の丸の
 光仰いだ故郷(くに)の家
 忠と考とをその門で
 誓って伸びた健男児

3 ひとりの姉が嫁ぐ宵(よい)
 買ったばかりの日の丸を
 運ぶ箪笥(たんす)の抽斗(ひきだし)へ
 母が納めた感激を
 今も思えば目がうるむ

4 去年の秋よ強者(つわもの)に
 召出(めしい)だされて日の丸を
 敵の城頭高々と
 一番乗りにうち立てた
 手柄はためく勝ちいくさ

5 永久(とわ)に栄える日本の
 国の章(しるし)の日の丸が
 光そそげば果てもない
 地球の上に朝が来る
 平和かがやく朝がくる



 (毎日新聞社が公募した当選歌)
 太平洋行進曲(作詞:横山正徳  作曲:布施元)

 1 海の民なら男なら
 みんな一度は憧れた
 太平洋の黒潮を
 共に勇んで行(ゆ)ける日が
 来たぞ歓喜の血が燃える

 2 今ぞ雄々しく大陸に
 明るい平和築くとき
 太平洋を乗り越えて
 希望涯(はて)ない海の子の
 意気を世界に示すのだ

 3 仰ぐ誉れの軍艦旗
 舳(みよし)に菊を戴(いただ)きて
 太平洋を我海と
 風も輝くこの朝だ
 伸ばせ皇国(みくに)の生命線

 4 遠い我等の親達が
 命を的(まと)に打ち樹(た)てた
 太平洋の富源(ふげん)をば
 更に探(たず)ねて日本の
 明日の栄(さかえ)を担(にな)うのだ

 5 潮と湧き起(た)つ感激に
 飛沫(しぶき)を上げて海の子が
 太平洋に船脚(ふなあし)を
 揃えて進む響(ひびき)こそ
 興(おこ)る亜細亜(あじあ)の雄叫(おたけ)びだ
 
 
 (昭和13年春、NHKが国民歌謡として放送)
 愛国の花(作詞:福田正夫 作曲:古関裕而)  
 
 1 真白き富士の けだかさを
 こころの強い 楯(たて)として
 御国(みくに)につくす 女等(おみなら)は
 輝く御代(みよ)の 山ざくら
 地に咲き匂う 国の花

 2 老いたる 若き もとともに
 国難しのぐ 冬の梅
 かよわい力 よくあわせ
 銃後にはげむ 凛々(りり)しさは
 ゆかしく匂う 国の花
 
 3 勇士のあとを 雄雄しくも
 家をば子をば 守りゆく
 優しい母や また妻は
 まごころ燃ゆる 紅椿
 うれしく匂う 国の花
 
 4 御稜威(みいづ)のしるし 菊の花
 ゆたかに香る 日の本の
 女といえど 生命(いのち)がけ
 こぞりて咲いて 美しく
 光りて匂う 国の花
 光りて匂う 国の花

 
 (読売新聞社と海軍省の公募の当選作)
 海の進軍(作詩:海老名正男 作曲:古関裕而)

 1 あの日揚がった Z(ゼット)旗を
  父が仰いだ 波の上
  今日はその子が その孫が
  強く雄雄しい 血を継いで
  八重の潮路を 越へるのだ


 2 菊の御紋の かげうつす
  固い護りの 太平洋
  海の男の 生甲斐は
  沖の夕陽に 撃滅の
  敵のマストを 夢に見る


 3 御稜威(みいつ)輝く 大空に
  意気に羽ばたく 海鷲が
  描く制覇の 勇ましさ
  僚友(とも)よ七度(ななたび) 生きかはり
  波に勲を 咲かさうぞ


 4 海へ海へと 燃えあがる
  大和魂 しっかりと
  胸に抱いて 波千里
  進む皇国の 海軍の
  晴れの姿に 栄えあれ



 


  






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posted by 下等遊民 at 21:09| Comment(0) | TrackBack(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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